1. TOP
  2. COLUMN
  3. デザイナーの越境について、バンドに置き換えて考えてみた

デザイナーの越境について、バンドに置き換えて考えてみた

ここ最近、とくにコンピュテーショナルデザインの分野で、「デザインの越境」という概念が重要になってきていると感じます。

しかしデザイナーがデザインの枠を超えて「越境」するとは、具体的にどういった状態を指すのでしょうか?

単純に「越境」という言葉だけを捉えれば、デザイナーが他分野の仕事へ片足を突っ込んで口を出していくような絵が想像できます。
しかしそれは果たして効果的な手段なのでしょうか。
人によっては、「内政干渉だ」と拒絶反応を起こされることもあるかもしれません。

そこで筆者なりに、もっとシンプルにデザイナーにおける「越境」の定義をまとめてみたいと思います。おおまかに以下の3つのポイントが挙げられます。

・全員で連携して1つのアウトプットを生み出すために取り計らうの姿勢
・他分野の領域を理解し、全体を把握する
・全体において自身が貢献出来ることを考え、実行する

これらを総合すると、まずデザイナーに求められるべきことは、「意識の越境」ではないかと感じます。

「意識の越境」とはどういうことなのか?

自身がバンドをやっていることもあり、これらを考えるうえで「デザイナー」の立ち位置を、バンドにおける「ギタリスト」に置き換えて考えると腑に落ちたので、ここに記していこうと思います。



プライドを持ったクリエイターが陥りがちなこと

ギタリスト然り、デザイナー然り、自己主張や主観が強めの、プライドを持った表現者である場合が多いです。

ギタリストで例を挙げれば、バンドでの曲作りの際、求められている曲は大衆向けのポップソングなのに、ギタリストの個人的な趣味嗜好から「これが至高だ」とヘヴィロック風のギターソロを演奏してしまう。

周りから「いや、それはちょっと違う」と批判されると、「なぜこの良さが理解されないのか」「奴らはセンスがない」と箱に閉じこもってしまう。

そしてメンバーとの溝が生まれ、結果的にアウトプットの品質にも影響が出てきます。

これをデザイナーに置き換えて考えてみるとどうでしょうか。

「自分が思うデザインこそ最高だ」「シンプルなのが間違いない」「色はモノトーンにした方が今のトレンドに合ってる」など。

主観で突き進んだ結果、プロダクトとして求められている「コンセプト」や「雰囲気」との齟齬が起こり、「もっと楽しい感じにしてほしい」「見にくい、使いづらい」「キャッチコピーやボタンはもっと派手にして」との意見があがり、元々考えていたデザインが瓦解していき、落胆して箱に閉じこもってしまう…

こういった自身の領域だけに囚われていることから起こる周りとの齟齬は、ギタリスト/デザイナーに関わらずプライドを持ったクリエイターが陥りがちな事ではないでしょうか。

結局これらは、分野の違う複数人で一つの作品を生み出すということに意識を向けられていないことから起こる悲劇だと考えられます。



複数の技術が組み合わさってこそ生まれるモノ

バンドは、それぞれの楽器の音が重なり合い、全体として1つのアウトプットを生み出します。
全員が息を合わせ、全体で1つの「曲」を紡ぎ出すことに意識を集中します。

ここで着目したいのは、メンバーそれぞれが全く別の役割を担当していることです。

複数人それぞれが自分の楽器を演奏しながら、他の楽器も意識しつつ、1つの音を出すことに集中できていることこそ、質の高い楽曲を生み出す重要なファクトとなります。


開発プロジェクトも、複数人で力を合わせてプロダクトを生み出すものです。

ディレクター・システムエンジニア・フロントエンドエンジニア・デザイナー・インフラ・マーケティング・営業・経理・などなど…

これら分野の違う複数人が一丸となって、1つのプロダクトをリリースすることに意識を集中し、自分の領域だけでなく全体を含めた広い視野を持って開発に望めたのなら、お互いが連結が強固になり、結果的に質の高いアウトプットが生まれることになります。

デザイナーがデザイン領域だけしか意識できていない状態、つまり「意識の越境」出来ていない状態では、周りとの連携という面で不十分となります。

そのためには普段から他分野の人達とのコミュニケーションは欠かすことは出来ません。

「他分野の人」と縦割りの関係で割り切っていては、全体として良いグルーヴが起きることはないでしょう。



同業者<他分野に意識を向けよ

前述のとおり重要なのは、同業者同士でつるむことよりも、他分野と積極的にコミュニケーションを取り、他分野を理解することです。

プロジェクトで言えば、システムでもマーケでも営業でもディレクターでもいいので、実際に自分でその分野の仕事を経験してみるのがとても効果的です。

筆者も過去に営業兼デザイナーという役割を経験したことはあります。実際に営業としてクライアントと接することによって勉強出来ることはとても多く、営業の仕事や気持ちを知るうえでとても良い機会となりました。

これからの時代、デザイナーはデザインをやっているだけではいつか壁にぶちあたります。

デザイナ同士でつるむのも悪くはありませんが、むしろ積極的に他分野と絡んでお互いの理解を深め連携していく姿勢が、結果的にクリエイターとしての視野や考え方を広げることに繋がります。

そしてプロジェクト全体の中で、自分が出来る最大限の貢献を考え、1つのアウトプットに向けて行動していく意識が大事です。

さながらバンドの音の一端を担うギタリストのように。



今回のまとめ

くりかえしになりますが、今回の「越境」におけるポイントを振り返ってみたいと思います。

・全員で連携して1つのアウトプットを生み出すために取り計らうの姿勢
・他分野の領域を理解し、全体を把握する
・全体において自身が貢献出来ることを考え、実行する

バンド的に言うならば、もっと他分野の人たちとのセッションを楽しんじゃおう!ということです。

なので難しいことは考えずに、まずは「意識の越境」から始めてみてはいかがでしょうか。