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映画「アルキメデスの対戦」自分なりの感想

総評

思っていた以上の良作。映画として楽しめる要素が詰まっており、史実と絡めた脚本も秀逸。

ポイント

・数学という一見地味な題材にも関わらず退屈させない演出設計
・歴史的事実に基づいた中での、意外な結末

具体的なレビュー

数学という一見地味な題材にも関わらず退屈させない演出設計

序盤の海戦描写

序盤から、戦艦大和が沈没するまでの壮絶な海戦が展開される。
VFXのクオリティも高く、近年の日本映画における戦争描写のなかでもかなりリアリティのある映像に仕上がっている。

大和が沈んでいくシーンは痛烈で、見ていて辛くなる。大和が建造された先には、こんな悲惨な未来が待っていることを序盤で印象付けられる。

中盤の逆境

その後の展開に激しい戦闘描写などは無いが、上官の目を盗んで設計図を複写するスリルや、時間に追わる緊迫感もあり、中だるみしない設計が施されている。

軍上層部の老害っぷりがハンパない。日露戦争に勝利した過去の栄光に酔いしれ、個人のメンツなどに囚われ、現実を見ようとしていない。巨大戦艦建造こそ今の日本に必要だと言い張る。

大和建造に伴う本当の費用を割り出そうとする主人公たちを徹底的に妨害し、算出に時間がかかることがわかっていながら最終決定会議の期日を早めて窮地に陥れる。

そんな逆境の中で、なんとか活路を見出し、戦争突入を阻止しようとする主人公たちに感情移入せざるをえない。

後半の逆転劇によるカタルシス

そしてクライマックスの数学を駆使した逆転劇によるカタルシス。
こういった展開は王道ながらも、観ていて非常に気持ちがよい。


歴史的事実に基づいた中での、意外な結末

歴史的に戦艦大和は建造されてしまっているので、結末はわかっている…どうやってこの映画の結末につなげるのか?結局主人公は大和建造を阻止できなかった、というストーリーなのか?

鑑賞前の段階では上記の部分が気になっていたが、そこは見事な史実への繋げ方だった。

ネタバレになるので詳細を書くのは控えるが、思惑の裏の裏を書くような、見事な脚本だった。