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人材育成、褒めて伸ばすか?叱って伸ばすか? vol.2


前回からの続き。

褒めない、叱らない育て方とはどういうことなのか。

アドラー心理学ではあらゆる「縦の関係」を否定し、全ての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。

人はとかく人間関係を「縦の関係」で見がちです。
世間は一見すると、職場の先輩・後輩、上司・部下、親・子など、基本的に縦社会になっているため、その環境の中で育っていけばそういう見方になるのも無理はないと思います。
しかし、この「縦の関係」で見ることが、実は人間関係における落とし穴だったのです。

縦の関係というのは、その名の通り上下関係です。褒める・叱るという行為は、基本的にこの縦の関係から生まれます。

例えば今ここで、あなたがやってくれたことを、私が褒めたとします。

「いやぁ君は偉いねぇ〜!よく出来ました!良い子だねぇ」

どんな感情が湧くでしょうか?あまり良い気はしませんね。

わかりやすくするため極端な例になりましたが、これが「縦の関係」です。そもそも褒めるという行為には、「能力のある人が能力のない人に下す評価」という側面があります。

人が他者を褒める時、その目的は「自分よりも能力の劣る相手を操作すること」なのです。そこには感謝も尊敬も存在しません。

われわれが他者をほめたり叱ったりするのは「アメを使うか、ムチを使うか」の違いでしかなく、背後にある目的は操作です。アドラー心理学が賞罰教育を強く否定しているのは、それが子供を操作するためだからなのです。

確かに、思い返せば自分も人を褒めたり叱ったりするという行為の裏に、対象の人に対し「こうあるべきだ」と自分の勝手な理想のほうへ人を誘導していたように思います。上記のアドラーの考え方にはハッとさせられました。
そして、褒められた側は褒められたことによって一時的にモチベーションを上げられるかもしれませんが、デメリットもあります。

褒めてもらうことが目的になってしまうと、結局は他者の価値観に合わせた生き方を選ぶことになります。

人材育成において、自分で考え、行動できるようになるという本当の意味での「成長」「自立」という観点から考えると、これではまだ他者に依存している事になってしまいます。

では、褒めるのでもなければ、叱るのでもない。他にどんなアプローチがあるのでしょう?

そこで「横の関係」です。

縦ではなく、横の関係


アドラー心理学では、全ての対人関係を「横の関係」とすることを提唱しています。横の関係とは、「同じではないけれども対等」である、という関係性になります。

具体的にどういうことかというと


仕事を手伝ってくれたパートナーに「ありがとう」と感謝の言葉を伝える。あるいは「嬉しい」と素直な喜びを伝える。「助かったよ」とお礼の言葉を伝える。これが横の関係に基づく勇気づけのアプローチです。

一番大切なのは、自分にとっての部下なり後輩なりを「評価」しない、ということです。評価の言葉とは、縦の関係から出てくる言葉です。
そうではなく、相手とはあくまで対等な関係と捉え、単純に行為に対し感謝する。そうすることで相手の「勇気づけ」をおこなうということになります。

「ありがとう」は評価ではなく、もっと純粋な感謝の言葉です。人は感謝の言葉を聞いた時、自らが他者に貢献できたことを知ります。

ひとは、自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる。
つまり他者に働きかけ、「わたしは誰かの役に立っている」と思えること。他者から「よい」と評価されるのではなく、自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えること。

確かに、思い返してみると、人に褒められた時、一時的な高揚感はあるかもしれませんが、人に純粋に感謝された時に生まれる充実感とはまた違ったもののように感じます。

自分の所属するコミュニティで、自分が貢献できているということ。それを自覚することによって、人は自信や勇気、自立心、自ら行動する力を得ることが出来ると思います。

これこそが人材育成におけるフェアなアプローチであると感じました。

まとめ

  • 他者を褒めたり叱ったりする背景にある目的は「操作」です。そこには感謝も尊敬も存在しない。
  • 大切なのは、他者を「評価」しないこと
  • 仕事を手伝ってくれたパートナーに感謝、喜び、お礼の言葉を伝える。
  • ひとは、他者からの評価ではなく、自らの主観によって「貢献できている」と思うことによって勇気を持てる。