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ビットコインはなぜ生まれたのか?

次世代の通貨として注目されている仮想通貨。

その発端となった「ビットコイン」。

世間では、ビットコインは通貨というよりもまだ「投資の対象」として見られがちです。

しかし、ビットコインの本質はあくまで、今までにない新しい「通貨」だということです。

このビットコインが、どんな思想を持って、どんな歴史的背景から誕生したのかがわかると、「投資の対象」とは違った正しい認識を持つことができると思います。

ビットコインに込められた思想を一言でいえば「『お金を人々の手に取り戻す」ということになります。

これはどういうことなのでしょうか。

それを理解するためにはまず現在の金融システムについての認識を振り返るところから始める必要があります。

今回の記事は長くなりますが、下記の項目順に歴史的背景を辿って、ビットコインがどんな思想のもと誕生した通貨なのか、見ていければと思います。

・現在流通している「お金」の仕組み
└ FRB(連邦準備制度)の設立
└ 通貨発行権は「打ち出の小槌」
└ 銀行が儲かる仕組み
└ 部分準備制度
・小説「1984」で描かれた統治世界
・サイファーパンク
・リーマンショック
・サトシ・ナカモトの論文
・中央銀行の焦り
└ 仮想通貨に対する印象操作
・結び

現在流通している「お金」の仕組み

現在の世界通貨とされる米ドル。そのドルを発行している機関はアメリカ政府ではなく、民間の銀行です。

1913年 FRB(連邦準備制度)の設立

現在、米ドルを発行している機関がFRB(連邦準備制度)です。

このFRBは1910年にJPモルガン、ロックフェラー、ウォーバーグ、ロスチャイルド、クーン・ローブ商会等のユダヤ系の金融財閥の秘密会議によって設立が議論されました。

連邦準備制度というとわかりにくいのですが、つまりはドルを発行するための「中央銀行」です。上記に挙げた金融資本家たちが出資し、1913年に設立。彼らの「所有物」となる中央銀行が誕生しました。

国家ではなく、金融資本家たちが通貨発行権を得るための制度となります。

FRB設立に反対する勢力も多数いましたが、大半の上院議員がクリスマス休暇を取って不在の時に、FRB設立に関する法案は通され、あっさり可決されてしまいました。

当時大統領を勤めていたウッドロー・ウィルソンは、晩年になって連邦準備制度設立に加担したことを後悔して、こう言い残しています。

「私はうっかりして、自分の国を滅亡させてしまいました。大きな産業国家は、その国自身のクレジットシステムによって管理されています。私たちのクレジットシステムは一点に集結しました。したがって国家の成長と私たちのすべての活動は、ほんのわずかな人たちの手の中に有ります。私たちは文明開化した世界においての支配された政治、ほとんど完全に管理された最悪の統治の国に陥ったのです。」

FRB設立により、通貨発行権はJPモルガン・ロックフェラー・ロスチャイルドなどの一部の金融資本家たちに掌握されてしまいました。

そしてこの体制は現在まで続いています。

 

通貨発行権は「打ち出の小槌」

通貨発行権は、三権分立の司法権・行政権・立法権のさらにその上にくるような、巨大な権力です。
この「打ち出の小槌」を振って自由にお金を発行し、それを使って政治、司法、産業、軍事、全てを買収することができます。

通貨を制するものは世界を制す──。
振り返れば、この通貨発行権を巡って、血塗られた歴史が繰り返されてきました。

1860年代、当時大統領のリンカーンは戦費調達のため、グリーンバックスと呼ばれる財務省紙幣・そして政府統制下にあるナショナル・バンクに紙幣発行権を与え、国債を引き受けさせました。戦後、リンカーンは暗殺されてしまいます。
リンカーンによる通貨発行権の独占に脅威を感じた国際金融資本が、リンカーン暗殺の犯人に資金提供していた、という説もあります。

1960年代、当時大統領だったJ.F.ケネディは、ベトナム戦争の戦費と福祉予算の財源捻出のため、大統領令で「合衆国紙幣」を財務署に発行させました。その後、ケネディ大統領は暗殺され、世に出回った合衆国紙幣はすべて回収されます。

このような事柄は氷山の一角に過ぎず、通貨発行権、既得権益を持つ者にとって不利益になるようなことは、巨大な権力が行使され、弾圧されてきました。

通貨発行権を持つ者たちは金融界を支配して経済をコントロール。マスコミを使って大衆・世論を操作し、使い捨てを美徳とする消費文化を発達させました。ウォール街を中心とする金銭至上主義を助長し、金融資本主義というものを価値あるものとして国民に浸透させていきました。

 

銀行が儲かる仕組み

銀行はたくさんの人達からお金を預かります。その預かっているお金の中から、お金が必要な人に利子を付けて貸し出すことで利益を得ているように見えますが、これは実は違います。

銀行は、自身が所持していないお金も貸し付ける事ができます。

すごく極端な例え話をします。銀行の財産が0だったとして、あなたはそんなことは知らず、家を買うためにその銀行に1000万円を借りに来たとします。銀行は、お金が無いにも関わらずあなたの口座へ「1000万円貸しました」と記入します。銀行から1000万円融資を受けたわけです。
あなたはその1000万円を取引先の口座へ振り込み、銀行への毎月のローン返済として、利息を上乗せしてせっせと1000万円を返済することになります。

1円も存在しなかったところから、見事に1000万円 + 利息分のお金が生まれたのです。それを生み出しているのは一般労働者です。銀行はそのお金を懐に入れるだけです。

凄く極端な例え話でしたが、銀行がお金を生み出すイメージがなんとなく掴めて貰えたらと思います。

銀行は、自身が実際に所持している金額の9倍ものお金を世の中に貸し出すことができます。「部分準備制度」と呼ばれるものです。

 

部分準備制度

無限にお金を貸していると、預金者が引き出しに来たときに銀行にお金が全く無いという事態が起こりますので、預金額の約10%を中央銀行に準備金として保管しています。
なので、銀行は100万円を預金してもらうと、10%の10万円を部分準備制度として中央銀行へ預けて、残りの90万円は一般へ貸し出すことができます。
Aさんはその90万を借りて、取引先のBさんに90万を支払います。
Aさんは90万を銀行に返済しなければなりませんのでせっせと返済に奔走します。
Bさんは、受け取った90万を銀行に預金します。
すると銀行には180万お金が入ることになります。
そして銀行はBさんから預金された90万の10%の9万を中央銀行に預けて残りの81万を一般に貸し出し…
これを繰り返すことによって最終的には、最初の100万を差し引いて900万円のお金が生み出されることになります。

この仕組は「信用創造」と呼ばれます。この信用創造という名の元に、銀行の親玉である国際金融資本家は、巨額の利益を懐に収めています。

この巨大な財産を後ろ盾に、あらゆる産業を所有し、戦争も、為替も、株も石油も、すべて国際金融資本家が裏で仕切っているのがこの世界の真実だと言われています。

一般労働者は常に借金に追われ、どれだけ頑張って生産力を上げようと、最終的には彼らの懐が潤うという仕組みになっているのです。

 

 小説「1984」で描かれた統治世界

1949年に、作家ジョージ・オーウェルが執筆した小説『1984』が刊行されます。

その物語の舞台は、1984年、ビッグ・ブラザーと呼ばれる国家元首が統治する世界。すべての国民が監視・盗聴され、言論統制、思想の統制が行われ、少しでも国家の規範から外れたものは、密告され、思想警察に拘留され拷問を受ける。自分の信念を徹底的に砕かれた後、党の思想を受け入れ、心から党を愛するようになる。
こうして、個人の自由は奪われていき、ビッグ・ブラザーは世界の全能なる独裁者となる。という、一部の巨大権力の支配による全体主義に警鐘を鳴らす内容となっておりました。

この小説は冷戦下の中でイギリス・アメリカで爆発的に売れ、反全体主義・反集産主義のバイブル的な一冊となりました。

そして、小説に描かれているような世界、一部の圧倒的権力を持つ者に支配されているこの世の中の構造に、反旗を翻す者たちが現れます。

 

サイファーパンク

インターネットの黎明期にサイファーパンクと呼ばれる活動家たちが登場します。

サイファーパンクの思想に関する技術的な起源は、暗号学者であるデビッド・チャウムが論文『身分証明無しのセキュリティ:ビッグ・ブラザーを時代遅れにする取引システム (英題:Security without Identification: Transaction Systems to Make Big Brother Obsolete)』で述べた、匿名電子マネーや偽名における評判管理システムなどの分野に対する研究に遡ります。

彼らは暗号技術を開拓して、インターネット上で新たな世界を築こうとしました。国家の枠組みの外で、権力構造や階級と無縁の世界を作り出そうとしたのです。

1993年、サイファーパンクの1人、エリック・ヒューズの宣言があります。

政府や企業、または他の顔のない巨大組織が慈悲深く我々にプライバシーを与えてくれると期待してはならない。
(中略)
我々サイファーパンクは匿名システムの建設に献身する。暗号学をはじめ匿名のメール転送システムやデジタル署名、そして電子マネーを使ってプライバシーを守る。
(一部抜粋)

そして、サイファーパンク内で暗号技術を使った匿名デジタル通貨の可能性が議論されました。
求めたのは銀行や政府を弱体化し、個人に力を与える方法でした。

その思想を元に、「BIT GOLD」「ハッシュキャッシュ」「b-money」などの技術が生み出され話題になりましたが、当時は先を行き過ぎていて、サイファーパンク以外ついてこれるものはおらず、これらに関する議論は頓挫することになります。

 

リーマンショック

2008年、大手投資銀行のリーマン・ブラザーズの経営破綻を皮切りに、世界恐慌が起こりました。俗に言うリーマンショックです。

1980年代から銀行は、住宅ローンを担保にしたMBS(住宅ローン担保証券)を売って大儲けしていましたが、銀行はやがて売り出す債権が無くなると、所得の低い人達にも住宅のローンを組めるようにして、サブプライム(低所得者)ローンとして債権を市場に売り出しました。

投資銀行は色んな債権をバラしてランダムにパッケージし直した商品を発明し、格付け機関はそれを「信用度AAA」と評価し、市場に売り出します。買い手としては「AAA」の信用度がついた債権ですから、喜んで買うわけです。

そして、この時限爆弾(不良債権)が世界中に出回ることになったのです。

金利が上がり、債務不履行になったローンが続出し、債権は次々と紙くずとなり世界恐慌が起こりました。

これらの一連の流れは「マネー・ショート 華麗なる大逆転」という映画でわかりやすく見ることが出来ます。
当時の銀行家や格付け機関がいかに軽薄なやり方で暴利を得ていたかがわかります。

自体が沈静化したころには、年金や不動産価値が消え、800万人が職を失い、600万人が家を失いました。

しかし、大手銀行には連邦準備制度からの救済援助により多額のボーナスが支払われ、罪に問われた銀行家はたった一人だけという結末でした。

この裏にも、国際金融資本の暗躍があったとされています。

 

サトシ・ナカモトの論文

リーマンショックが起きた一ヶ月後、サイファーパンクメーリングリスト内のサトシ・ナカモトという人物が、これまでの暗号マネーに関するアイデアを統合し、ブロックチェーンという暗号プロトコルで運用されるビットコインという仮想通貨の論文をメンバーに配信しました。

このブロックチェーンと呼ばれる技術は、画期的な発明として注目されました。

ブロックチェーンについて詳しく解説しようと思うと、本一冊レベルの情報量になってしまうのですが、簡単に説明すれば、取引のデータをネット上で複数人が管理・同期する分散型台帳です。

銀行などの取引は中央管理型となり、取引データ管理は一部の権利者に握られています。取引台帳が一箇所集中しているため、ハッキングされやすいという脆弱性もあります。

それに対しブロックチェーンの分散型台帳は、台帳管理が民主化され、分散されているので、1箇所にハッキングが行われたとしても、他のコンピュータに正しい台帳が保持されます。

さらにブロックチェーンはハッシュと呼ばれる技術も併用して台帳の改竄が非常に困難なしくみになっています。(2018年今現在でも、改ざんされた事例はありません)

このような仕組みが注目され、新たな「通貨」としての可能性が有望視されるようになりました。

ビットコイン開発当時、サトシ・ナカモトとメールで連絡をとりあっていた現ビットコイン財団のギャビン・アンドレセンはこう語っています。

サトシは一部の銀行や銀行家が裕福にることが心底嫌いで、もっと公平なシステムを作るためビットコインを作った

当初からサイファーパンクが掲げていた思想、「ピラミッド型の中央集権国家を目論む者たちを許すな!通信を全部暗号化して、ビッグブラザー達を時代遅れにしよう!」という思いのもと生まれてきた暗号技術と、それら受継ぎ、「お金」を人々の手に取り戻すというサトシ・ナカモトの思いが結晶し、誕生したのがビットコインという新しい通貨でした。

そして2018年現在、仮想通貨は新たな「お金」の可能性を持つものとして多くの人に注目され、その時価総額は上がり続けています。

 

中央銀行の焦り

仮想通貨の隆盛をうけて、各国の中央銀行が独自の仮想通貨を発行しようとしています。

しかし、中央銀行が発行しようとしている仮想通貨はビットコインとはブロックチェーンの仕組みが違います。

ブロックチェーンは大きく2種類に分けられます。
パブリック・チェーンとプライベート・チェーンです。

ビットコインはパブリック・チェーンと呼ばれる「分散型台帳」、つまり中央管理者がいないP2Pを採用しているのに対し、中央銀行の仮想通貨はプライベート・チェーンという中央管理型の台帳システムを採用しています。

つまり今までの銀行システムと何も変わらない、全ての取引データが中央の権利者に握られているのです。マイニングは誰でも参加できるわけではなく、銀行の許可を得た一部の管理者しか行うことができません。取引データは一般に公開されないわけですから、不正があっても分からないのです。

有名な仮想通貨の中では、リップル(XRP)もこれと似たシステムを採用している仮想通貨です。台帳を一部の企業が管理する、コンソーシアム型ブロックチェーンと呼ばれるシステムです。
ビットコインは通貨発行総量が2100万と決まっているのに対し、リップルは上限がありません。
リップルゲートウェイというところに現金を振り込んで、預かり証を発行してもらい、それを仮想通貨として利用できるという仕組みです。
発行上限がないということは、預かってもいない預かり証を大量に発行することもできるということです。つまり、銀行システムの置き換えにすぎないということです。

大手銀行など巨大資本がリップルに出資しているのはそういう裏があるわけです。

 

仮想通貨に対する印象操作

最初は気にもとめていなかった国際金融資本家も、ここまでビットコインがメジャーになってきたことで対応を迫られています。

メディアを利用し、「ビットコインは麻薬取引など犯罪の温床になる」などのネガティブなイメージを必死に植え付けられようとしていますが、麻薬取引に一番使われている通貨は米ドルです。じゃあまずは米ドルを廃止しろ!とならなければいけないはずです。

2014年に取引所のマウントゴックスからビットコインが盗まれるや、それ見たことか!とビットコインはやはり怪しいものだという印象を植え付けようとします。
マウントゴックスの管理体制に問題があっただけで、ビットコインの価値自体は変わらないのは、少し考えればわかることでした。

サトシ・ナカモトは未だに謎の人物とされていますが、正体を表さない理由も、人物を特定されるやいなやありもしないスキャンダルをでっちあげられ、「こんな人間の作った通貨などロクなものではない」という印象操作が行われ、ビットコインが世間に受け入れられなくなってしまうことを避けているからだと考えられます。

「奴らを時代遅れにしてやろう」というサイファーパンクのひとつなぎの思いが、ビットコインという形で見事に実現しつつあるのです。

結び

今まで通貨発行権により暴利を得てきた支配者たち。

それらに反旗を翻したサイファーパンクの思想、それを受け継ぐサトシ・ナカモトの思いのもと、ビットコインは誕生しました。

単に送金手数料が安く、どこにでもすぐに送金できる便利な世界共通の通貨というだけでなく、裏にはこういった「『お金』を人々の手に取り戻し、中央銀行をぶっ飛ばす」という思想が背景にあるものだったのです。

インターネットの誕生が世界に情報革命を起こしたように、ビットコインによって、これからの金融社会が大きく変化しようとしています。

これまでの内容を踏まえて、それでも中央銀行が発行する通貨を使っていきたいと思うでしょうか?

ながらく国際金融資本家が支配してきたこの世界が、今後どのように変化していくのか、筆者は楽しみでなりません。